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試験盛土をします。

2020-12-16
さて、今回は品質管理のお話です。

工場で作られる製品とは違い、土木は自然の中で成果物を作る仕事です。
まして、今回行う盛土は自然の土を使うものです。

そこに品質管理?と思われる部分もあるかもしれませんが、もちろん全てにおいて、細かな計算で管理されているんですよ  

ただ単に土を積んで新しい提体を作るだけでは丈夫な提体は出来ません。池の水位が増えた時、水の力に負けて提体が崩れては工事の意味がありませんもんね 

では、実際に何をするのかと言いますと・・・
 
※写真をクリックすると拡大します。
空いたスペースに試験盛土の区画を作りました。
3区画とも同じように土を盛って高さを測ります。
実際の使用機械で転圧をします。
これを何層も繰り替えし1m程の山ができました。
試験盛土といって、実際の工事と同じように土を盛って締固め、きちんと設計通りの密度である(土が締固められて強くなっている)かを確認します  

その為の区画を作ったわけですが(写真左上)、転圧回数を変えて盛土をするため、3区画に分けられています。
今回は転圧回数を6回、8回、10回としています  

そこに実際に使う土を20cm敷き(工事でも1層は20cmずつなので)、区画ごとにそれぞれの転圧回数で締固めていきます。
6層繰り返した所で1m弱の高さになりました。※転圧して締固めると土が詰まるので、6層(120cm)土を敷いてますが、1mまでの高さになっていません。

この状態で、締め固めた土を試験にかけていきますよ  
締め固めた土がどのくらい水を通すかの試験です。
時間ごとに水位がどのくらい下がったか測定します。
こちらは土の密度を調べる試験です。
水分を蒸発させて含水量も測定します。
まず、左側の写真が透水試験の様子です。
60cmの筒を土の中に埋めて水を入れて、スタートから一定時間ごとに中の水位がどのくらい下がるかを測定します。
こうして透水度を確認します。

そして右側の写真が密度試験の様子です。
任意の3か所で同じ大きさの穴を掘り(専用の器具があります)、試験専用の砂をその穴にいれます。
掘った土の重さや試験砂の重さの比重などから穴の体積や、元々あった土の湿潤密度というものがわかるんです  

そして、掘った土を火にかけて水分を蒸発させることで、土に含まれている水の量(含水量)を測定します。
難しい話でちんぷんかんぷんかもしれませんが、中身はサラッと流してもらって構いません  

要は、土がしっかりと締め固まる水分比を管理しましょう、というものなんです  

土の水分が多すぎると締め固めが出来ず強度もでないですし、逆に水分が少なくても土の中に空隙がたくさんできてこれまた締め固めても強いものにならない上に、透水試験で水が通りすぎてしまいます    

なので、締め固めをした時に土が一番強くなる水分量を保たなくてはいけないんですよ    この試験では、水分量が合格ラインにあるかを測定しているんですね~。

それぞれの転圧回数で試験をして、設計通りの転圧回数で合格ラインがでるのか。転圧回数を増やさないといけないのか、逆に少なくてもOKなのか。。。をみるわけです 
ここで強度の足りない数字が出てしまうと、転圧回数を更に増やして施工するのか、もしくは使用する土を変えるのか、など求められた強度が出る方法を考え直さなくてはならなくなります  
 
ちなみに、土の種類によって最適含水比は変わってきますので、使用する土全種類で同じ試験を行います。そして試験に使った土はこのまま工事で利用します   

試験で合格ラインが出たからと終わりではなく、施工する時にも土の水分量を測定して、乾燥しすぎていたら散水をしたり水が多すぎたら乾燥させたりしながら施工していくんですよ  夏場なんかは暑さで水分も蒸発しやすくなりますからね  

今日は、土木成果物の品質管理をご紹介しました~    

本日も無事故・無災害で作業を終えることが出来ました。
皆様、ありがとうございました。
 
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